>HOME


4月15日(月)京都に行ってきました。観光バスで「都路の寺社めぐり」をしてきましたが、知恩院、泉涌寺(せんにゅうじ)の特別拝観に接することができてラッキーでした。残念だったのは、今年は桜前線が早く駆け抜けて、花の名所もほとんど葉桜の状態でした。その中で平安神宮の庭園に咲く紅枝垂桜が唯一、目を楽しませてくれました。

仁和寺(にんなじ)
観光バスはまず北へ向けて走り、旧御室御所の仁和寺(にんなじ)に着きました。春の日射しがまぶしいほど降り注ぎ、緑の木立の中に見えかくれする豪壮な山門、勅使門、白書院、黒書院、宸殿、霊明殿、五重塔、金堂など多くの伽藍が輝いていました。
 
しかし、有名な「おむろの桜」は完全に散っていました。今年の桜前線は、例年より物凄く早く「花の名所」のスケジュールを大きく狂わせたようです。「おむろの桜」は今、葉桜に装いを変えていましたが、木の丈が非常に短く、梅林を思わせるような感じのコンパクトな「桜の園」でした。
 

仁和寺に到着 仁和寺の庭園


平安神宮
バスは南下して東山方面に入り、大文字の山などを眺めているうちに平安神宮に到着しました。参道には露店がびっしり軒を連ね、手や口を漱いで境内に入りますと、鮮やかな朱塗りの応天門や大極殿の神殿がどっしり構えていました。
 
平安神宮は明治28年、平安遷都1100年を記念して創建され、桓武・孝明天皇を祀られていますが、私達は神苑の池泉回遊式庭園を散策しました。ここの紅枝垂桜は、ほのかなピンク色の花をいっぱい漂わせ、花らしい花にやっと出会ったという感じでした。初夏になると、アヤメ、ハナショウブなどいっせいに咲き誇るそうです。

平安神宮は鮮やかな朱塗りの門 紅枝垂れ桜の花のトンネル

手入れの行き届いた庭園と池を眺めながら木橋に腰をかけていますと、鯉の群れが餌を求めて近寄ってきます。写真を撮る者、餌の麩を与える者など、のどかな休憩のひとときを過ごしました。

瓢亭(ひょうてい
懐石料理の高級料亭として有名な南禅寺町の瓢亭で昼食をとりました。ここは明治の元勲山県有朋らが深く愛した料亭で、隣には山県公の別邸があります。夏の朝がゆ、冬の鶉がゆは、瓢亭玉子とともに広く知られています。
 
うっかりすると通り過ぎそうな入り口ののれんをくぐって、和室に上がりますと、池のある庭が「和敬静寂」の落ち着いた風情を漂わせてくれます。私達の昼食は、松華堂弁当。玉子に筍、お吸い物などが彩りを添え、お膳もご飯も瓢箪に型どられオツなものでした。

瓢亭の前を人力車が走っていました 時代劇に出てきそうな瓢亭の茶屋


知恩院
バスは瓢亭からほどなく浄土宗総本山・知恩院の境内へ着きました。知恩院は、岡山県久米南町出身の法然上人が開いた念仏の聖地として余りにも有名です。今日は三門(さんもん)の中を特別拝観できるとあって、胸がわくわくします。この三門は、高さ24メートル、横幅50メートル、屋根瓦7万枚を使い、木造の門としては世界一の規模を誇っています。
 
知恩院の僧侶の案内でゆるやかな女坂を下り切ったところが三門の入り口です。ここから急傾斜の階段を上ると、釈迦牟尼仏をはじめとする仏像が安置され、荘厳な感じです。壁や天井には天女や飛竜が極彩色に描かれていました。この三門は現在、重要文化財ですが、近く建造物全体が国宝に指定されるとのことで、特別拝観は絶好のタイミングでラッキーでした。

 知恩院の三門を支える柱はケヤキの巨木 軒下のこの辺りに左甚五郎の「忘れ傘」

   

知恩院に伝わる七不思議は有名です。まず「ウグイス張りの廊下」ですが、御影堂の廊下550メートルを歩きますと、ウグイスの鳴き声に似た音がします。侵入者を防ぐための、いわば昔の警報装置みたいなものです。次に名工・左甚五郎が魔除けに置いた「忘れ傘」が御影堂の高い軒下に見えました。このほか「白木の棺」「大杓子」「抜け雀」「三方正面真向の猫」「瓜生石」などが七不思議と伝えられています。
 

泉涌寺(せんにゅうじ)
バスはさらに南下して、最後の特別拝観となる泉涌寺(せんにゅうじ)に到着しました。天正年間に弘法大師が庵を開き、広く「御寺(みてら)」として親しまれています。また、皇室の菩提所としても篤い信仰を集めています。境内には、仏殿、舎利殿があるかと思えば、天智天皇以降の歴代皇族の御尊碑を祀る霊明殿の伽藍があって、神仏混合の取り合わせが妙でした。
 

泉涌寺のご案内で見る美しい庭園

            

御座所には皇后御産の間や侍従の間、玉座の間があり、菊の御紋があちこちに見られ、美しい庭が周囲を包んでいました。霊明殿へは秋篠宮様が御参拝されるそうで、最後の特別拝観は何か神々しい気分にさせられました。

(谷本国男記)