ここでは、在来工法の木造住宅における、地震への強さを測る 6つのポイントを紹介します。
1.建築時期
住まいは基本的には、新しいほど耐震性が高くなっています。というのも、大地震があると、家を建てる際に守らなければならない建築基準法の耐震基準が厳しく改正されるからです。 特に、1971年の基礎の布基礎化、1981年の必要な壁の量や軸組みの強化によって耐震性が大幅にアップしました。新しければ必ず安全とは言えませんが、古いほど危険度は高くなります。
2.建物の形
家の形は、正方形や、正方形に近い長方形が地震に強い形です。 家を囲む6つの面が一体となり、地震からのエネルギーが平均して伝わり、全体で支えるからです。 逆に、「L字形」「コの字形」、凸凹の多い複雑な形の場合は凹んだ入隅部分にエネルギーが集中しやすく、建物のゆがみやねじれが生じやすくなります。 1階の1部が駐車場、2階が建物の左右に片寄っている、平屋建てに2階を載せて増築した、などの場合も弱いとされています。 ただ、そんな場合でも、壁の量を増やしたり梁や柱が補強されていれば強くなります。
3.地盤と基礎
地盤が弱い場所ほど地面も上に建つ建物も揺れが大きくなります。 特に海や川、池、沼、水田や畑を埋め立てた土地は地盤が弱い場合が多いです。 山の斜面を削って土砂を埋め戻して平らにした造成地も弱くなります。自宅が昔どんな場所だったかは、図書館で昔の地図や国土地理院の「土地条件図」などで調べることが出来ます。 また、さんずいが付く漢字や水に関する文字が入っている地名からも昔の状況が推測できるといわれています。 基礎も建物を支える重要な部分です。鉄筋コンクリート布基礎であれば強いですが、無筋だと弱くなり、玉石や石積、ブロックだとさらに弱くなります。
4.壁の配置
柱と壁で家を支える在来木造工法の建物は、地震の揺れに耐えるためには、壁がバランス良く配置されているかが重要です。 建物の1階を中心から見て、各方向に同じぐらいの割合で壁が配置されているかを見てみてください。四隅に壁がある家は耐震性が高くなります。北側が外壁に壁が多く内部も細かく仕切られているのに、南側は全面が窓で大空間の部屋があるといった場合は弱くなります。 ただ、壁が少ない場所は、少ない壁を強くすることで全体のバランスをとることが出来ます。
5.壁の量
建物は一般的に壁の量が多ければ多いほど地震に強くなります。1981年の新耐震基準でも、必要とされる壁の量が改定され、それによって耐震性が大幅に上がりました。ちなみにその基準では、2階建ての場合、床面積1m2当たりで1階に29センチ、2階に15センチの壁が必要とされています。 ただ、これも壁の配置と同様、筋交いを入れたり、耐震金物や構造用合板を使ったりすることで、強くすることが可能です。筋交い、耐震金物、構造用合板の3つを同時に行えば、普通の壁の4.5倍もの強さになります。
6.傷み具合
いくら新築時に強い家であっても、時間が経つことで老朽化し、構造上重要な部分が劣化してしまえば、耐震性は下がります。 基礎や土台、特に老朽化しやすい浴室やキッチン、玄関まわりの基礎や土台が押してみて崩れていないか、羽アリがいないか、床下を確認してみてください。 柱の傾きや、トビラや扉の開け閉めがしにくくなっていないか、屋根や軒先の線が波打っていないかも重要です。床が傾いていたり、たわんでいる場合も腐朽が進んでいる可能性が高いので対策が必要です。
耐震補強工事の例
リフォームの際に耐震リフォームも組み合わせることで、見た目だけでなく、 見えないところまでしっかりと安心できる住まいに生まれ変わります。